総説
子育て支援の場としての乳幼児健診のこれからと保健師の役割
都筑 千景
1
1大阪市立大学大学院看護学研究科
pp.478-483
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101214
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■要旨
本稿では,医学中央雑誌や厚生科学研究の報告書などから検索・入手した乳幼児健診に関する先行研究を概観することにより,乳幼児健診を子育て支援の場として活用していくための方向性と保健師が果たす役割について考察した。
その結果,いくつかの自治体で子育て支援を取り入れた健診内容が散見されたが,複数の自治体における健診実態に関する調査研究はほとんどなく,乳幼児健診における子育て支援の実態は,自治体により大きな差があることが推察できた。そのなかで保健師は,援助対象者の把握から援助にいたるまでの導入部分に大きく関わりをもっており,専門職として虐待や不適切な養育につながる“芽”を捉え,適切な援助に結びつけていくことが求められていると考えられた。今後の課題として,保健師は健診を子育て支援の1つの機会として捉え,個別の子育て支援と母子を取り巻く地域における子育て支援,すなわちポピュレーションアプローチをうまく融合させて展開していくことが重要であると考えられた。
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