研究
市町村保健師の専門的能力の認知とその関連要因
野中 茂子
1
,
松田 正己
2
1聖隷クリストファー大学健康管理センター
2静岡県立大学看護学部
pp.484-492
発行日 2009年6月10日
Published Date 2009/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101215
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■要旨
市町村保健師の専門的能力の認知とその関連要因について検討するため,147人に留め置き法と郵送法による調査を行い,以下の知見を得た。
・市町村保健師の専門的能力の認知の構造は,因子分析(主成分法,バリマックス回転)の結果,4因子が抽出された。
・市町村保健師の専門的能力の認知に影響している要因では,個人属性は保健師の経験のみが「対人支援能力」の認知と「地区診断能力」の認知に影響していた。さらに環境要因としては勤務地の人口規模,学習会の参加,担当地区の有無が「対人支援能力」の認知,「施策化対応能力」の認知,「地区診断能力」の認知に影響しており,先輩の有無は「対人支援能力」の認知,「施策化対応能力」の認知に影響していた。「データ整理・分析能力」の認知は勤務地の人口規模のみが影響していた。
・市町村保健師の看護職のキャリア意識は,行政職のキャリア意識より得点が高く,看護職のキャリア意識は「データ整理・分析能力」の認知に影響していた。
・市町村保健師の専門的能力を発達させるためには,保健師の技量の熟練度に応じた格付けや,OJT(仕事を通じた専門職業能力育成)などの学習の組立てなどによる保健師の専門的能力の育ちやすい環境を整備することに加えて,経験の少ない保健師には早期に多くの経験ができるような教育プログラムが重要であることが示唆された。
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