調査報告
高齢者施設で入所者,介護職員を介して感染拡大したNoro Virusによる感染性胃腸炎事例
田原 研司
1
,
飯塚 節子
1
,
板垣 朝夫
1
1島根県保健環境科学研究所
pp.978-981
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100994
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下痢症起因ウイルス,殊にNoro Virus(NV)は,飲食を介しての集団発生が多くみられるところから,1997年には食中毒起因物質に追加され,以後,食品衛生を中心とした予防対策が講じられている.一方,NVの感染経路には疫学的状況からみても共通の飲食を介さない飛沫・経口感染によりヒトからヒトへ伝播される,いわゆる感染性胃腸炎としての要素が大きく存在し,毎年冬期を中心に地域で発生する散発あるいは流行性の感染性胃腸炎がこれに相当する.これが集団での生活形態をとる幼稚園や高齢者等の入所施設に侵入した場合では,大規模な集団発生に発展する危険性が大である.これまでに大小の規模の非食品媒介性集団胃腸炎の発生を経験しているが1),今回は2000年3月に高齢者施設で入所者,介護職員の間でヒトからヒトへ集団発生したNV感染の感染拡大要因について記載する.
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