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“口から食べる幸せ”をサポート!―嚥下障害ケア「おいしい!プロジェクト」の取り組み/病院から発信する地域リハビリテーション―嚥下障害ケア「おいしい!プロジェクト」の実践
村松 智子
1
1焼津市立総合病院地域医療連携室
pp.305-307,354-357
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100971
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焼津市立総合病院の地域医療連携室で働く保健師は,日頃の医療相談から,高齢者の緊急入院は嚥下障害に起因することが多いことに気づいた。そこで,病院や福祉施設の専門職を中心に,産官民の協働による「おいしい!プロジェクト」を結成。「口から食べること」の学習会を開催し嚥下食の普及啓発に取り組んでいる。“嚥下”に焦点を当てた,“おいしい”を支えるまちづくりに注目!
急性期の総合病院は医療制度改革の煽りをうけ,どこも厳しい経営事情に直面している。公立病院はとくに「経営改善」という課題と「地域住民の安心と安全を守る」という役割,「老いても障害をもっても住み慣れた地域で暮らすことを保障する」という市民の大きな期待がある。
筆者は医療相談担当として要介護高齢者の退院支援(相談)に関わり,「要介護状態の高齢者の救急入院は“食べること”に起因するものが多い」ことに気づいた。具体的には「食欲低下」「嚥下障害」「誤嚥」「誤嚥性肺炎」「窒息」,さらに「食べられない」ことによる「脱水」「発熱」「けいれん」などである。そしてこれらは在宅からも施設からも同じように多く,たとえ入院中回復しても,退院先で「嚥下」「摂食」「口腔の清潔」の機能を維持することはとても難しい現実があることがわかった。
本稿では,「口から食べられる幸せ,感じよう!」をテーマに,病院の専門職を中心として生まれた産官民による「おいしい!プロジェクト」の活動について報告する。
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