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編集後記
和田
,
栗原
pp.304
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100962
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●身近な人の死に直面した時,心を襲うのは単なる悲嘆ではない。自らの生への回顧と,痛い程の自責の念だ。それは時が治癒してくれる安易なものではない。けれど,残された者は何一つ変わらない日常を同じように生きていかなければならない。事実を心の隅に押しやり,対峙することから逃避することが,精一杯の抵抗である。
終末期ケアを思う時,看取り看取られる者にとっての最善とは何かを考えさせられる。特集で佐甲論文が示唆した「死はケアの対象だけではなく,人間としての自己実現であり,終末期をヘルスプロモーションの一部と捉えて末期を生き抜くスキルを身につけよう」という視点は斬新だ。ライフスキルや死へのヘルスリテラシーを身につけることで,自己効力感を高め,内なる力を引き出(エンパワメント)せれば,終末期という黒雲に光を射す可能性が拡がるだろう。
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