調査報告
難病患者・家族支援において保健所保健師が果たしている役割・機能
大船 朋美
1
,
知見 圭子
1
,
飯島 俊美
2
,
竹田 美穂
3
,
深沢 直美
4
,
橋爪 亜紀子
4
,
岡部 順子
5
,
村松 照美
6
1山梨県峡東保健所
2山梨県中北保健所
3山梨県中北保健所峡北支所
4山梨県職員厚生課
5山梨県国保援護課
6山梨県立大学看護学部看護学科
pp.552-557
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100799
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■要旨
Y県A保健所に所属する1名の保健所保健師の難病患者・家族への支援過程における語りおよび実践活動の記録をもとに,6名の保健所保健師が保健所保健師として果たしている実践活動の内容を振り返った。
その内容を逐語録にし,分析の客観性・信頼性を高めるために共同研究者とともに検討を行った結果,難病患者・家族支援において保健所保健師が果たしている役割・機能として,68の記述単位,20のサブカテゴリと7つのカテゴリが見出された。7つのカテゴリとして,「難病に関する実態把握」「難病に関する課題の明確化」「計画策定および施策化」「必要な保健サービスの提供」「関係者および他職者との連携および調整」「専門職者の研修企画および参加」「活動評価および今後の課題の明確化」があげられた。
保健所は,特定疾患医療給付制度の申請窓口として国の難病対策要綱に位置づけられている。そのため,申請時の所内相談をとおして,保健師は難病患者の現状やニーズを早期につかみやすいという特徴がある。それを生かし,難病患者の現状やニーズを把握した後,管内に在住している複数の療養者に,どのような支援が必要かアセスメントし,家庭訪問や所内相談などの個別援助や学習会などの集団の場を活用して,援助につなぐことができると考えられた。
また,保健所保健師は,管内市町村のすべての難病患者を対象としながら,地域におけるニーズの把握とその支援活動により,広域的な調整機能を果たす役割を実践していた点が特徴であることが明らかになった。
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