研究
基本健診で実施可能な全身持久力測定方法の検討―足踏みの際の心拍数・収縮期血圧を利用して
高波 利恵
1
,
緒環 祥子
1
,
木村 厚子
1
,
草間 朋子
1
1大分県立看護科学大学広域看護学講座保健管理学研究室
pp.546-551
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100798
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■要旨
基本健康診査会場で実施可能な高齢者の全身持久力の間接的測定方法として,足踏みを行い,その際の循環器反応を評価指標とすることに着目した。本研究はその基礎資料として21~22歳の女性を対象に,3種類のピッチによる足踏みを10分間継続して行い,その際の心拍数(以下,HR),収縮期血圧(以下,SBP)の変化から適切なピッチと運動負荷時間を明らかにし,無酸素性作業閾値から求めた全身持久力との関係を検討した。
HRは120ピッチ,150ピッチともに足踏み開始後1分目には有意に上昇し,足踏み開始後3分目までに定常状態に至った。SBPは足踏み前と比較して150ピッチの4分目以降にしか有意な上昇はみられず,定常状態は足踏み終了まで示されなかった。また,無酸素性作業閾値(以下,AT:Anaerobic Threshold)1)から求めた全身持久力の差は足踏みのHRに反映されなかった。よって,足踏みは20歳代前半の女性の全身持久力の推定方法としては適切ではないことがわかった。
しかし,高齢者を対象とした場合は,同じ運動負荷方法でも身体への負担が大きいことと,加齢により最大HRが低下するため,運動負荷方法として妥当である可能性がある。今後は高齢者を対象に足踏みを行い,再度,その際のHRとSBPの推移を明らかにし,全身持久力との関係を検討することが必要である。
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