特集2 保健師の身近な危機にどう対応するか
メンタルヘルスの問題をもつ住民への対応のしかた
築島 健
1
1札幌市精神保健福祉センター
pp.612-618
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100743
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ある昼休みの「お客様」
ある昼休みの役所2階の相談カウンター。保護某課の課長と向かい合っている1人の若い「お客様」。彼がやって来たのは昼頃だから,もう30分もこうやって「話し合い」をしている。もう少し正確に言うと,話し合いにはなっていない。若い男性は,しきりと「おいこら」「このハゲ」「税金泥棒」「馬鹿野郎」と,怒鳴り続けている。役所勤め30年の経験豊かな事務吏員の課長は,自分を「馬鹿呼ばわり」する,息子といくらも歳の違わない「お客様」に,怒りを抑え丁寧に対応していた。
次の瞬間,「お客様」は立ち上がり,待合の椅子を足で蹴って大きな音を立てたかと思うと,椅子を頭上に掲げ持ち,カウンターの内側めがけて投げつけた。その場に居た若い男性職員が負傷した。「お客様」は駆けつけた警察官に逮捕された。
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