特集 医療依存度の低い高齢者への訪問看護
高齢者在宅支援における訪問看護の活用について―介護支援専門員の視点から
藤江 慎二
1
1いづみの里居宅介護支援事務所
pp.298-302
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100119
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はじめに
「訪問看護」における利用者像を考えるとき,どのような利用者や,疾患,状態を思い浮かべるであろうか。難病の患者や,在宅酸素療法中の患者,IVHやカテーテル挿入中の患者,糖尿病でインスリン注射が必要な患者,ターミナルの患者など,医療行為が必要な利用者への対応を思い浮かべるのが,現在の高齢者在宅支援における訪問看護の一般的な捉え方ではないだろうか。
上記にあげたような状況や状態にある利用者に対して,訪問看護サービスを提供することは当然必要不可欠なサービスといえる。利用者・家族も,介護支援専門員などケアマネジメントの専門職も,同じ答えを出すのではないだろうか。
しかし,在宅支援における訪問看護の活用範囲はもっと幅広いと考える。すなわち訪問看護は,どのような利用者にも必要なサービスであり,心身の状態が安定している段階から活用すべきではないだろうか。訪問看護の活用により,疾患の悪化などを予防し,よりよい在宅生活を長く送ることが可能になる。介護保険法施行から5年が過ぎようとしている現在,要支援や,要介護1・2といった,比較的状態のよい利用者が悪化する傾向にあることを防ぐ上で,中心となるサービスなのではないだろうか。また,介護保険財政の悪化防止,コストコントロールという視点からも有効である。
以下では,2つの事例をもとに,訪問看護の活用とその成果を介護支援専門員の立場から報告し,訪問看護の幅広い活用による,在宅高齢者の安全で安定した生活への取り組みを報告する。なお2ケースとも,論文の基本資料としての掲載について,書面にて了解を得た上で報告するものである。
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