特集 忘れられない、特別な「あの人」—在宅看取りの実践集
—【私の「あの人」❶】—「この町で暮らしてよかったよ」
松山 なつむ
1
1訪問看護ステーションかしわのもり
pp.356-359
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201890
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訪問看護師になり干支が二巡。立ち止まって後ろを振り返れば、いつの間にという思いです。節目を経ながら、随分いろいろなことを経験させてもらい、飽きることはありませんでした。訪問看護を通じて出会った方々の生き様から、私自身の生き方に影響を受け、死への概念もゆっくりと形成されてきました。ここの「ゆっくりと」が案外大切で、現場での失敗や悔しい思いに向き合い、ゆっくりと迷っている間に不思議な力が湧いて、次への一歩や小さな感動につながって続けてこられたと思っています。
地域で生活者として生ききる方の最期はそれぞれで、お一人として同じ方はいらっしゃいません。コロナ禍などの時代背景も影響されますが、それまで生きてこられた生活の場がもつ力に大きく影響されると感じています。後者は病気や目の前の事象に執着していると、見失うものです。今回、あらためて出会いを辿ってみたい方は、訪問中の会話は実に少なかったのですが、後々になって豊かな対話をさせていただいていたと気づかせてくださった月子さん(仮称)です。
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