銀海余滴
てがみ—バルチモアより
河本 正一
pp.67
発行日 1955年1月15日
Published Date 1955/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202072
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ワシントンに一週間滞在して唯今バルチモアに来ています。何か眼科的に珍しいものがあつたらお知らせしたいと思つているのですが,仲々見つかりません。ワシントンでは神鳥先生に大変お世話になりました。神鳥先生はどの勤務病院でもワシントンの眼科医の内でも非常に評判がよい様に見受けられました。ワシントンの医学図書館は非常に完備していて日本の医学書も多く日眼も第一巻からそろつています。この図書館の本部ともいうべき議会図書館には日本の本が38万册もあり日本人も数名いますが,8万册の整理が出来ているにすぎないそうです。書庫に入つて見ましたが驚くばかりでした。芥川さんが非常に興味を持つていられることですがワシントンで盲人の職業教育をしているところを見ましたが盲人がミシンを掛けたり椅子やマツトをつくつていました。アメリカにもブルークロス(病院の費用)ブルーシールド(医師の技術に対して払う)という健康保険があります。
Blue Cross Blue Shield非常に小規模で日本とは比べものにはなりませんが一寸お知らせいたします。ブルークロスの外にも保険がありますがブルークロスは夫々の病院協会が認めたものです。ブルークロスのいろいろなことを決めるのにその人数の内の55%が病院代炎,17%が医師代表,28%が公衆代表です。これで見ると医療関係者が大部分を占めていますが,病院代表も医師代表も公衆のことを考えているので別に行きすぎはないといわれています。
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