特集 懸賞論文結果発表
エッセイ部門 テーマ:私のB面
優秀賞
伯母が教えてくれるもの
明地 和美
1
1いしかわ子育て支援財団
pp.756-757
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100540
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2003年3月,伯母が「肺癌」と診断された。前年の7月から背部痛がひどくなり病院めぐりをしていたが,「異常なし」「痛みは気のせいでしょう」と言われるばかりだった。13件目の病院でやっとついた診断名が「肺癌」だった。癌はすでにかなり大きくなっており,手術はできない部位ということもあって,主治医は「今日から放射線と化学療法をやります。いいですね!」と言った。
伯母は,病気に関わることはほとんどといっていいほど私に相談してくる。この日も「癌かもしれないから一緒に病院へ行って」と言われ,同行した。しかし,告知後すぐに「治療を開始します」と言われても,「えっ? そんなことを言われても…。こっちの都合も考えてほしい」と言うのが正直な気持ちであった。即決できないのは伯母も同じだったようで,「とにかく1週間待ってください」と言うのが精一杯だった。
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