連載 とびら
母の最期が教えてくれたこと
横山 仁志
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部
pp.507
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203440
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大学病院で28年間,うち集中治療室(intensive care unit:ICU)専従理学療法士として13年間勤務している私は,数多くの最期の場面に遭遇してきた.そんな私の母が,昨年8月,享年82歳で自宅にて最期を迎えた.自らの最期を通じて,人として,医に携わるものとして未熟な私に多くの学びの機会を与えてくれた.
母は,ハンセン病療養所に定年まで看護師として勤務し,その後も近所のデイサービスのスタッフのアドバイザー兼サポーターをしていた.辛抱強い性格で,人とのかかわりを大切にし,周囲から厚い信頼を得ていた.そんな母が骨髄異形成症候群を患い,コロナ禍のなか治療のために入退院を繰り返し,汎血球数と感染とのにらみ合いで,4年余りの闘病生活を過ごしていた.いつ肺炎を併発してもおかしくない検査値で,田舎で独居をする母を,遠方から気にかけながらの生活であった.
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