連載 ニュースウォーク・76
「痴呆」と呼ばないで
白井 正夫
1
1元朝日新聞編集委員
pp.716-717
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100530
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いまも活動しているだろうか。新潟県大和町の素人劇団「よもぎの会」が痴呆症への関心を呼びかける寸劇を演じて各地を回りはじめたのは20年前のことだ。引退した保健師を中心に主婦らが演じ,ボケばあちゃんが騒ぎを引き起こす舞台はどこでも笑いを誘った。劇団を思い出すたびに「痴呆」という言葉にはユーモアが同居していると感じていたが,どうもそうはいかなくなるようだ。
「痴呆」という呼称には知的,精神的能力の低下した状態を蔑視するニュアンスが感じられる,と厚労省が呼称の再検討をすることになった。医療,介護福祉関係者,患者家族らをメンバーとする検討会を立ちあげ,医学的見地だけでなく国民の日常生活の視点からも,9月をめどに新しい呼称を決めたいという。
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