特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
II 呼吸器
6.往診での治療
胸痛で呼ばれたとき
柴田 一郎
pp.1636-1637
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205040
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胸痛を訴える疾患の頻度 内科医にとって,胸痛を主訴とする患者を診る頻度は高いものであり,青柳1)によれば昭和43年の慶大内科外来新患の8.04%を占めているという.また入院患者を対象としては,東大第2内科(小池による1))の例を示すと表の如くである.いずれも胸痛以外の,呼吸困難,発熱など,他の訴えを伴ったものと解せられる.一方,前述の外来患者では,上気道気管支炎によるものが圧倒的に多く,ついで不整脈,頻脈,肋間神経痛,高血圧,肋膜癒着などが多く,入院患者にくらべ,疾病構成を全然異にしている.私の往診の経験から考えた場合,その対象となる疾病構成はこの入院患者のそれとよく一致しているようである.この表を見ると,胸痛を訴える患者を診るにあたって注意すべき疾患は虚血性心疾患,胸膜炎などであり,重篤な疾患としては解離性大動脈瘤,肺塞栓などであろう.往診に際しては,本表の疾患に注意しておくことが必要であろう.
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