特集 災害・被害を受けた住民への支援 暮らしとコミュニティの再建をめざして
―えひめ丸沈没事故―心のケアに必要なのは継続した組織的な支援
加藤 泉
1
,
大上 律子
2
1愛媛県宇和島中央保健所
2武庫川女子大学
pp.328-335
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100478
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保健所による支援活動の実際
加藤 泉
えひめ丸沈没事故とは
2001年2月10日(日本時間),太平洋ハワイ沖で,愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」がアメリカ合衆国原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突され,沈没する事故が発生した。乗員35人のうち26人(生徒9人,船員17人)は救助されたが,9人(生徒4人,船員3人,指導教官2人)は行方不明となった。
この事故の特徴として,「事故現場がハワイであった」「被害者の多くが,最も多感な思春期の高校生であった」「米海軍の潜水艦の急浮上で衝突し,全面的にアメリカの責任が問われた」「国家間の問題となり,言葉や文化の違いもあって,遺族は十分な情報や説明を得にくい状況だった」「深海から船体を引揚げるため,遺体の確認までに7か月以上を要した」などがあげられる。
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