連載 フィールドワーク往復絵手紙・2
サナアの街と「水」事情
伊達 潤子
1
1山口大学大学院医学研究科(博士課程)
pp.164-167
発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100445
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初めて降り立ったサナア空港で,「はあるばる来たぜ,イエメンンン♪♪」というバックグラウンド・ミュージックが聞こえたほど,「遠い地までやってきた」感じがした,中東はアラビア半島最南端の国,イエメン共和国。
私,伊達潤子は,そのイエメンの首都サナアに住み始めてもう3年以上になる。イエメンに対して日本政府が行っている,技術協力プロジェクトに従事する夫について,サナアにやって来た。そして,この状況をこれ幸いと,自分の医療人類学の研究調査地にしてしまったのだ。読者の方々は,首都といえば,東京・ロンドン・パリなどの,先進国の首都を思い浮かべるだろうか。またはマニラ・デリー・ナイロビなどの,地方色は豊かだが,都市はグローバル化の波に乗っている,発展途上国の首都を思い浮かべるであろうか。どちらも,サナアのイメージとは,かけ離れている。何千年も昔からアラビア半島の交易の拠点として栄えてきた旧市街を有するサナアは,とてもユニークな首都だ。これからしばらくの間,サナアと,そこに住む人びとについて,私が見聞きした話にお付き合い願いたい。
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