特集 国際化時代の保健活動を考える
―在日外国人への保健活動②―静岡県袋井市における調査から見えてきた―在日ブラジル人の健康問題とその支援
濵井 妙子
1
1静岡県立大学看護学部
pp.1022-1028
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100422
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
静岡県袋井市では,在日ブラジル人に対し健康問題に関するアンケートを行った。その結果をもとに,市・大学・NPOの協働で,健康問題への支援に取り組むこととなった。
われわれの研究グループでは,2002年度から静岡県西部地域の袋井市で定住化が進んでいるブラジル人市民の健康行動に関する研究に取り組んでいる。2003年度には,外国人を対象にレセプト調査を実施した。その結果,外国人の医療費は日本人に比べて低額であり,年齢別,疾患別,受診圏をみても,患者調査による日本人の受診行動と顕著な相違はみられないことが明らかになった1,2)。しかし,この研究は病院や診療所を受診している外国人を対象に行った調査で,医療保険未加入者や通訳が確保できない人々がどのような健康問題を抱え,自分自身や家族の健康をどのように守っているかについては,次の課題として残された。
そこで,在日外国人が直面している健康問題を解明するために,2005年度にブラジル人市民を対象に健康行動に関する個別面接質問紙調査を実施した。さらに,2006年度には地域における外国人医療支援の体制づくりを推進していくために,2005年度の調査結果にもとづいてポルトガル語版の健康啓発用冊子を作成し,地方自治体とNPO法人の協力を得て,ブラジル人市民を対象に健康問題の正しい理解のための普及・啓発および医療情報提供の支援活動を実施した。
本稿では,2005年度と2006年度における調査結果の概略と,そこから見えてきた課題,今後の取り組みについて報告する。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.