特集 保健師ライセンスの現在
大学教育において保健師ライセンスに何を求めるか―大学で保健師教育を行うことの意義
小西 美智子
1
1日本赤十字豊田看護大学
pp.468-472
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100371
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保健師の養成機関は,急激な勢いで4年制大学に移行した。大学だからこそできる保健師教育とはどのようなものか。また,実習施設との協働場面で大学が果たすべき役割は何か。従来の保健師養成所との違いを踏まえつつ,大学教育の意義について論じた。
保健師教育の大学化の背景
保健師教育が大学で行われるようになったのは,1953(昭和28)年4月に高知女子大学が看護師と保健師の国家受験資格が習得できる看護学教育を開講してからである。それ以来,一部の教育学部に設置されていた看護教員養成課程における看護師のみの教育以外では,看護系大学は看護師教育と保健師教育を同時に行っており,2006年度にはそのような教育を行っている看護系大学は144校に達している。その背景には,人々の高学歴化や健康ニーズの高まり,医療技術の高度化に加えて,看護職として専門性を明確にし看護学を専門領域として学問的に体系化する必要があることも関連している。
表1に,保健師養成機関別における1学年あたりの定員数について,2000年からの推移を示したが,大学教育を受けた保健師教育修了者が看護系大学の増加に伴って年々増加し,保健師国家受験の受験有資格者も増加していることがわかる。一方,養成所での保健師教育修了者が減少していることは,公立の看護系大学の新設によって公立の養成所が閉校になることと関係している。また,学士課程,つまり大学で保健師教育を行う場合は,1997年度のカリキュラム改正によって始まった,4年間で看護師と保健師の教育を同時に行う統合カリキュラムで開講するのが一般的である。
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