連載 「健康格差社会」への処方箋・2
ライフコース・アプローチ―足が長いとガンで死ぬ?
近藤 克則
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.946-952
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100346
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足が長いイギリスの子は,カッコイイ。でも癌で死にやすい。にわかには信じがたい話だが,1937~1939年に2歳から14歳9か月であった2990人もの人を1995年まで,60年近く追跡して得られた知見である1)。
子どもの頃の環境や栄養状態が成人してからの体格に影響するのは常識でわかる。母親から「しっかり食べないと大きくなれないよ」と言われなかった人はいないであろう。実際,4歳時のエネルギー摂取量が多い人ほど成人期(43歳時)に足が長いという報告もある2)。小児期の(栄養をはじめとする)いろいろな因子が体格に影響するように,成人期の健康状態や疾患・死亡率などに影響しても不思議ではない。
このような小児期の生物学的,社会的な因子が,後の健康状態や疾患に与える長期的な影響を研究するのが「ライフコース疫学」である3,4)。今回は,このライフコースという視点から健康格差を考える。
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