調査報告
慢性疲労を有するハウス農業女性のセルフケア能力の過程―改善プログラム参加者の分析より
大井 美紀
1
1高知学園短期大学幼児保育学科
pp.678-683
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100292
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■要旨
ハウス農業女性の慢性疲労を改善するための実用的なプログラムの開発やその有効性に関する研究は極めて稀である。
本稿では,筆者(保健師)の作成したプログラムに参加した慢性疲労を有するハウス農業女性らのセルフケア能力が,どのような段階を踏み変化していくのか,その向上を促進あるいは阻害する要因は何なのか,また,身体的効果や精神的効果は,プログラム参加のどの段階で得られるのかなどを分析するとともに,段階に応じた保健師の支援を検討した。
対象は,慢性疲労を有するハウス農業女性27人(平均年齢51.2±7.0歳)である。データは,半構成的質問紙と参加観察,地区踏査や記録物を通して収集し,帰納的に分析した。
その結果,慢性疲労を有するハウス農業女性のセルフケアの過程は,「期待と混乱」「実践と後退」「体感」「調和」の4段階であった。それに応じた保健師の支援量は,個から集団へと移行した。セルフケア能力は,全体としては,プログラム継続に伴って向上していく過程であった。しかし,向上を阻害する要因として〔満たされない休息欲求〕と〔生きがい感の低下〕が抽出された。
本研究は,特定のハウス農業女性を対象としている点から一般化はできないが,慢性疲労を有するハウス農業女性を理解し,保健師によるセルフケアの援助を行うための枠組みとして使用できる。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.