社会の窓
曲りかどの農業
野口 肇
pp.56
発行日 1964年2月10日
Published Date 1964/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203048
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さる1月11日付の新聞は,いっせいに,池田首相が閣議で,国土計画のあたらしい立案をしめした,とかいています.これによると,このさい政府としては,農業の構造改善と選択的農業の拡大などすすめるために,農業と工業用の適地を区分して根本的な国土計画たてなおしをやる.とくにさいきん数年は,地方の各県が工場誘致には熱心だが,それだけ農業用の適地開発がおろそかにされているのをあらため,それにはまず地価の抑制をしなければならない--といった趣旨です.
だがこの説明をよくよむと,中心は工場誘致や道路などをすすめるために土地の値上りがいちばんじゃまになるから強制的に地価をさげようということのようです.「農工適地の区分」は,ことばづらではでているものの,農業のほうに力点はありません.
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