特集 医療費を理解する! 保健活動の指標としての効用と留意点を知る
保健師の立場で医療費を考える
三好 ゆかり
1
1国民健康保険中央会保健事業部
pp.614-622
発行日 2006年8月1日
Published Date 2006/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100286
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現場の保健師が医療費について考える際,健康づくりの推進者としての立場と保険者としての立場を同時に考えることが必要になる。健康を守ることと医療費を抑制すること,双方の目的にどのように立ち向かえばいいのか…。
私は,日頃から国保連合会の保健師*1と一緒に仕事をする機会が多くありますが,彼女たちが市町村の保健師と話をするときに,「私たちは医療費を下げるために働いているのではない」と言われる機会が増えた,と聞きます。実際に現場で医療費を下げるよう言われているのか,あるいは時代の流れに圧力を感じているのではないかと思われます。本稿では,この問題意識について考えることで,市町村保健師の立場で医療費をどう受けとめていけばよいか,考察します。
先ほどの発言は,保健師なら誰しも感じたことがある問題意識だと思います。このような意識をもつ理由として,
①保健活動は住民の健康と生命を守るためであって,医療費削減のためではない。
②住民は国保被保険者だけではない。
③医療費が高くなるのは,保健活動が不十分なためだけではない。
などが考えられます。
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