特集 精神衛生の展開
精神衛生への期待と批判
地域保健の立場から
篠崎 英夫
1
Hideo SHINOSAKI
1
1厚生省地域保健課
pp.922-926
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206436
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■各国の精神衛生
我が国の精神衛生への期待を語る時,諸外国での精神衛生活動の状況が比較材料として参考にされると思うが,筆者は1978年から2年間,WHO精神衛生課長(西太平洋地域)として諸外国の精神衛生活動を見聞する立場にあったので,まずこれらのあらましを述べることから論を始めたい.
西太平洋地域には35ヵ国の政府があるが,この中で精神衛生法もしくは精神衛生審議会をもつものは10ヵ国余にすぎない.精神障害者を病者と位置づけ,精神病院への入退院に一定の基準を設け,政府として精神衛生活動を推進する姿勢を示す,この法律や審議会を大部分の政府はもっていない.つまり精神衛生に対するプライオリティーは各国とも非常に低いということがいえる.
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