研究
1歳6か月児健康診査における保健師の情報収集・判断の方法について
鈴木 とも子
1
,
安齋 由貴子
2
1仙台市宮城野区保健福祉センター
2宮城大学看護学部
pp.1204-1209
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100254
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■要旨
本研究の目的は,1歳6か月児健康診査において,保健師が,保健事業展開中にどのように情報収集・判断を行っているのかを明らかにすることである。
研究対象は,研究協力の同意が得られたT町に勤務する保健師5人である。半構成的面接を行い,面接時の会話内容を逐語的に記録した。対象者への質問は,問診時,保健指導時,カンファレンス時,そのほかの4つの状況において,どのような方法で「情報収集」「判断」を行うのかについて聞き取り,質的研究方法を参考に分析した。
その結果,(1)記録物をもとに対象の全体像を把握する(2)子どもの様子を把握する(3)母親の様子を把握する(4)母子関係を把握する(5)対象を取り巻く環境についての情報を得る(6)保健師の言動が受け入れられるよう対象者に接する(7)保健師独自で問題を予測する(8)保健師独自で問題の検討を行う(9)問題を複数人で多角的に検討し対象の方針を見出す(10)各専門職種との健診場面における連携をとる(11)母子保健事業(システム)の見直しのための情報収集・判断を行う(12)対象者毎の個別のケアシステムを検討する,という12のカテゴリーが見いだされた。
このなかでも,(6)(10)(11)(12)の4つのカテゴリーについては,地域保健活動の一般的な概念・原則として既に示されているが,保健事業レベルで具体的に示した文献はなく,保健師が毎日の業務でどのように行っているのかとらえにくかった。しかし,本研究結果から,地域保健活動の原則と実践との関係が見いだされ,理論をふまえた保健師活動の実際について理解が深まった。
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