連載 保健師と精神科医との往復書簡・5
患者に向けて湧いた「怒り」にどんな折り合いをつけていますか?
ひらす けい
,
S
pp.774-779
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100190
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がん患者として生きる保健師と,地域精神保健活動への助言者である精神科医との間で交わされる往復書簡。援助者としてと同時に患者として,さざなみのように揺れる援助の姿に本物を求める保健師と,援助の検証を深める精神科医との対話から,多くの教訓が引き出されていきます。
ひらす けい様
拝啓
寒暖計が零下を示した朝,車に乗ってしばらくは,氷のようなハンドルを上着の袖を引き伸ばして握っています。暖気がようやく車内にゆきわたる頃,名栗の山奥に発する河川の中流を横切る橋の1つにさしかかり,その橋上から遠く見晴かす孤峰は,冷え込んだ朝ほど,透明な冬空と山裾まで冠雪した稜線のコントラストを鮮やかに際だたせています。
さて,今日は私のほうが筆をとらせてもらいました。これまで交わした手紙の中で,喉元まで出かかっては呑みこんでしまった考えを,きちんと表現したいと思ったからです。
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