連載 ニュースウォーク・86
老人医療費「無料化」に幕 平成合併の波に
白井 正夫
1
1元朝日新聞
pp.448-449
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100169
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島崎藤村が「木曽路はすべて山の中である」と書き出した『夜明け前』の舞台は,明治維新前夜の中山道馬籠宿である。長野県木曽郡山口村神坂,いや今年2月14日,岐阜県中津川市馬籠と名を変えた馬籠宿は,藤村の生まれ故郷でもあった。
40年近く前,新聞記者として木曽に1年余,駐在したことがある。道路網の整備も遅く,まだ「山の中」を実感していた。当時,旧中山道をたどって妻籠宿から峠越えして馬籠に入ったことがある。その記憶が鮮明なのは,峠を越えたとき眼前に広がった岐阜側の陽光のせいである。谷あいから狭い空を見上げる木曽と違い,その明るさは別天地を感じさせた。昔から越県合併紛争は続いており,山口村の人の多くが望む源を知る思いだった。
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