連載 医療保障講座
医療保障と現行関係法の考え方・2
佐藤 進
1
1金沢大学
pp.43-48
発行日 1970年7月25日
Published Date 1970/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908957
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わが国の医療保障のための関係諸法制が,従来その都度の必要に応じて,臨床対症療法的になされてきたこと,そして今日それが現代社会の必要にともなって綜合的に検討されねばならなくなってきていることは事実である。今次の「保助看法改正の動き」が,看護婦不足という社会現象を眼にして,准看の量的増加を即席的になしている点は,わが国の医療関係行政が,従来と変わらないことを示している。関係従事者の生活条件の保障とともにその質的な面とを,今後の医療の動きに対応してなされなければならないにもかかわらず,いっこう考慮されないことが,このような看護婦の量的対策のみに向いているとみられる。
同様に,これまで,健康保障というものに対する考え方についてのべ,これについて保険制度をみてきたが,「医療保険制度」も,財源対策にのみ眼を向けられてきたこと,ここに大きな問題があることを説明してきた。しかし,この対策,抜本対策は言うはやすく,行なうは難いということは事実であり,かつこれを考えるに当たって,医療制度をめぐるいくつかの与件について考慮が払われなければならないだけに,ことさらなのである。
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