特集 日本の医療制度
現行医療制度に対する批判と意見
田辺 正忠
1,2
1医療生協
2早稲田診療所
pp.22-25
発行日 1961年4月10日
Published Date 1961/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202304
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(1)
日本の下部構造には手をふれないでおいて,医療制度をどうしたらよいか,というのが,医療の緊急課題であるのかもしれない.おかしな話である.教育費が不足すれば,教師の俸給をおさえるために勤評がもち出され,医療費が不足すれば,保健婦を整理したり,医者の監査をやかましくしたり,ということが本当でなければ幸いである.
まえおきはこの位にして,町医者は,自分の仕事のぶつかる不自由さについて,話をすすめることにする.もちろん,私も医師会員のひとりであるので,現実の矛盾(特に低医療費)との対立の中で出された,医師会の統一行動を乱そうとするものではない.けれど,こんなこともあるということを,もつと自由な立場でのべてみたいし,いろいろな地域や職場にある人間が,自分の意見を卒直に書くことは,大局的にみて必要なことではなかろうか.
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