グラフ
海洋投棄船—大都市の汚水のゆくへ
浅井 博
pp.5-8
発行日 1967年5月10日
Published Date 1967/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203918
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東京都内の下水道は水洗化がすすみ,昭和48年ごろまでには80%の計画であるが,それでもいぜんとして,バキュームカーによるくみとり風景は跡をたたない。このバキュームカーによってくみとられる汚水のゆくえについては,あまりしられていないが,50%は,黒潮の流れにそって海上に投棄されるのである。都内9ヵ所の清掃作業所にバキュームカーが集まると,川を渡ってし尿処理船(通称おわい船)が東京湾に運ぶ。それをタンクにつめて,太平洋上に投棄するのが海洋投棄船である。このシステムは,戦前からあったが,戦後一時肥料不足の折に農家に還元していて,昭和28年からあらたにはじめられた。
東京都船舶清掃事業所(東京都中央区勝どき2丁目1の4)が管理しており,998トンから390トンまで4せき,乗組員は,船長,機関士,航海士それに食事係計86名で構成されている。出航は,朝8時に連絡船から投棄船まで行ぎ10時30分出発,17時30分に大島沖の投棄場で投棄,23時ごろ東京湾に戻るが,港内に入るのは翌朝で11時に帰港,片道55.5海里一昼夜の労働である。特に台風などない限り,毎日,月水金と火木土の2グループにわかれて2せき1組ででかける。投棄船ははじめ晴海ふ頭に止っていたが,他の船にいやがられてしだいに沖に出,今は事業所から連絡船に20分のって行かなければならないお台場に止まっている。
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