特集 病院枕を分析する
患者の声から病院枕を分析する
深町 早苗
1
,
本多 理恵
1
,
越谷 秀子
1
,
福岡 祐子
1
,
柳 奈津子
2
1群馬大学医学部附属病院
2群馬大学医学部保健学科
pp.512-522
発行日 2001年6月1日
Published Date 2001/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903747
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
今から5年前,病院の基本寝具の見直しに伴い,当院における枕の検討を行なった.枕の充填素材や,入れる量と重さなどについて患者の意見を聴取し,新しい枕を作成し,患者用枕として導入してきた1).このときの検討によって,枕は人の体型により適・不適があり,患者のなかには治療上の特定の体位や,苦痛の緩和のために枕の使い方を工夫し,初期には思ってもみない使い方をしている者もいた.
枕の不適は入院生活を送る患者の睡眠の質に影響するのみならず,昼夜にわたってベッド上で治療上の体位制限と戦っている患者の安楽そのものに,いくつかの間題を派生させている.特に,術後の治療過程にある患者にとっては,手術による侵襲や創部の痛みに加えて,体位の制約が課せられることにより精神的な緊張も増し,自分でもどうしようもない苦痛に襲われる.狭いベッド上で特定の体位が数日も続くとなると,自分自身の身体をもてあますことにもなろう.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.