諸外国の教育事情
ソビエトの教育
下村 哲夫
1
1教育大学大学院
pp.26
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908768
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スプートニクの打ちあげ成功以来,そうした科学技術のすばらしい進歩を生みだしたソビエトの教育は,全世界の注目を浴びています。ツァーの時代には,教育の面でも後進国であったソビエトが,こんにちでは世界の「教育競争」のトップを走っているといってもよいでしょう。
こんにちのソビエトには,ツァー時代のロシアとは,くらべものにならないほど多くの学校が建てられ,たくさんの子どもやおとなが学校に通っています。しかし,そうした外面的な発展よりも重要なことは,革命を契機として,教育そのものの考え方がすっかり変ってしまったことでしょう。レーニンこのかた,共産主義の建設と,教育活動とは切り離すことのできないものとされ,共産主義をおし進めるためには,教育と生産労働を結びつけることが,教育の最も重要な課題とされたのです。ソビエトの教科書を開いてまず目につく,働くことを讃え,労働者を尊敬することを教えた教材も,そうした考え方から出たものといえましょう。
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