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特集 児童精神医学
展望
ソビエトの児童精神医学
Child Psychiatry in the Soviet Union
岡田 靖雄
1
Y. OKADA
1
1都立松沢病院
1Matsuzuwa Mental Hospital of Metropolitan Tokyo
pp.609-617
発行日 1959年9月15日
Published Date 1959/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200129
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I.はじめに
わたしはソビエトの小児精神医学についてお話します。でも考えてみますと,わたしがここでしやべるのは適当でないと思います。というのは,わたしが子供についてもつている経験はごく少いのです。わたしは小児精神医学を自分の専門にしようと思つているものではなく,精神科医としての常識の一部分として小児精神医学について知つていたいと考えるだけです。さらに,ソビエトの精神医学についても,あとでお話しになる方がたのように,その国で実際に見てきたわけではなく,本や雑誌を通じて知つているだけです。そういう点では,これから話すことはサシミのツマ程度に考えていただきたいと思います。だが,その反面ソビエトの精神医学者は小児の問題について古くからかなりの関心をはらつてきており,ソビエトの小児精神医学は,40年以上の充実した歴史をもつております。そのなかには学ぶべきものもかなりあるのではないかと考えられます。
小児精神医学が一般精神医学から離れてはならない,この点についてはだれも反対しないでしようし,ソビエトの小児精神医学史もこのことを教えています。そこでまずごく簡単にソビエトの精神医学全体がもつ特徴点をとりだしてみましよう。
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