看護人間学のための論理療法入門・5
論理療法の概略・その3
伊藤 順康
1
1東京理科大学
pp.48-51
発行日 1988年1月25日
Published Date 1988/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908475
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ABC理論と古典的英知
前回において,われわれは,論理療法におけるABC理論を学んだ.それは,ごく簡単に言えば,Aという物理的世界の事象は,Cという感情的な世界にストレートに影響を及ぼすものではなく,その間にBという現象学的世界(受けとり方の世界)が介在しているということであった.
外界の事物や出来事が直接に人の感情そのものに影響を及ぼすものでないこととは,実は古今の哲人のよく言うところである.ここではエピクテートスと,マルクス・アウレリウスをとりあげてみよう.まずはエピクテートスの『人生語録』(佐久間政一訳,文修堂)によって彼の直接的表現を借りてみよう.
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