看護人間学のための論理療法入門・2
私と論理療法
伊藤 順康
1
1東京理科大学
pp.632-635
発行日 1987年10月25日
Published Date 1987/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908431
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私と論理療法
論理療法は,カウンセリングの有力な一つの理論である.カウンセリングとは何か,それはしかつめらしく言えば「言語的および非言語的コミュニケーションを通して,相手の行動の変容を試みる人間関係」のことである.中心概念は行動の変容というところにあって,まず人を直そうとするより人をよりよく理解しようと努め,理解を基礎に相手の行動の変容を援助していこうとするものである.カウンセリングの対象とする範囲はきわめて広い.親子,職場,家庭,育児,性,非行などなど,しかしここで,現実生活に適応できないほど重症のクライエントを適応できるように引きあげるのは治療であって,心理療法の領域とする.カウンセリングは,そういう病理的パーソナリティを対象とするのではなくて,健常者が,現実生活でさらに自己実現できるように援助するという教育としての側面をもっている.
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