海外看護教育の現状・2
看護学の発展と中国の看護界
林 菊英
1
,
鈴木 美恵子
2
LIN JU YING
1
1中華護理学会
2弘前大学医療技術短期大学部
pp.424-427
発行日 1987年7月25日
Published Date 1987/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908397
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はじめに
看護学は新興の独立した学問である.これは一つの職業として1860年から始まり,まだ126年しか経っていない.初めの100年間の発達は非常に遅く,一般的な看護の知識と技術をただ臨床に応用するだけであった.しかしこの30年の間に看護の理論と科学的研究面において発展し,看護の専門性を促進させた.看護の対象は,単に病人を看護するだけではなく,社会の人々の健康を保持増進することまでに拡がった.
わが国では1884年以来ようやく看護は1つの専門職業として発展してきた.1つの職業に従事する人を,当然,養成・訓練しなければならない.しかし看護は専門職としての理論性に弱いので,その安定性と独立性をなかなか持ち難い.国内の革命戦争時期と建国時期に安定した衛生事業の急速な発展につれて多くの医療技術者が必要であったが,各種の医療技術者に関する法律がなかった.このため看護は1つの専門職業でありながら,社会的位置づけが不安定であった.一方では多くの人が養成を受けないまま看護職につき,一方では技術が優れている多くの看護婦が,医師や技師あるいは行政要員に転職したので,わが国の看護専門職は長い間ただ過渡的職業にとどまり,看護の専門性の確立とそれを高めることを阻害してきた.
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