21世紀の看護を考えるルポルタージュ ホスピスへの遠い道—マザー・メアリー・エイケンヘッドの生涯・19
マザー・エイケンヘッドの娘たち—シドニーからの報告
岡村 昭彦
pp.244-251
発行日 1985年4月25日
Published Date 1985/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908089
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北京からシドニーへ
中国から日本に戻ると,夏休みはもう終わりに近づいていた.息子のAkihiko Jr. は私の郷里の漁村・舞阪で,いつものように早朝からシラス引き漁業の漁船に乗せてもらったり,藤田老人にアブ(ブリの子どもの別名)釣りに連れていってもらったりして,残された時間を楽しんだ.
野球帽をかぶり,ザックを背負った彼の姿が,成田空港のイミグレーションの彼方に消えると,もう私の頭の中は,次の年の夏休みの子育てのカリキュラムでいっぱいであった.その年には,北京から汽車で蒙古人民共和国を訪ね,その次の年の1985年には,チベットを訪ねてチベット仏教にじかに触れさせる計画であった.私はいまごろ手荷物検査台のX線の下を通り抜けてゆく彼のリックの中身のことを考え,自然にほほえんだ.
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