クリオへの感謝 歴史にみる看護婦群像・1
—第1話—鈴木まさのこと
高橋 政子
1
1看護史研究会
pp.399-404
発行日 1981年6月25日
Published Date 1981/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907557
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はじめに
クリオは,ギリシア神話に出てくるミューズ神の1人で,歴史をつかさどる女神であるという.私には,クリオの顔はまだ見えてこないが,いつのころからか,その存在だけは信じるようになった.
こちらが手をこまねいていては,クリオの方から声をかけてくれることはあり得ないけれど,1つの問題意識をもって,それを胸に抱きつづけていると,思いがけない時にクリオは肩を叩いてくれて,かたい扉を静かに開いて見せてくれる.私にとってクリオの部屋は決して明るいものではなく,薄暗がりの中で何かをもらい,持ち帰って光をあててみて,がっかりしたり,途方にくれることも多いが,時には探し求めていたものをズバリと与えてくれて,クリオ,クリオ,とその存在に感謝する.
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