特集 一般教育科目の再検討
<私の授業から>
私が心がけようとしている事柄
石井 秀夫
1
1日本大学大学院(社会心理学専攻),看護学校(心理学担当)
pp.616-620
発行日 1979年10月25日
Published Date 1979/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907376
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教養科目は常識的問題を平易に扱い,その重要性は専門科目に比べて多少とも劣るという考え方は,かなり一般化したものであると思われる.ナースとなるための国家試験に教養科目の出題がないという制度上の理由もあって,学生にとってそれが必要な単位を取得し,国家試験の受験資格を得るためだけの,いわばルーティン化した作業の1つであるという場合さえ見受けられる.教師の側でもまた,こうした学生の態度に答えるかのように,十年一日のごとく使い古されたノートを板書し,毒にも薬にもならない書斎の学問を紹介しているだけであれば,その存在意義は疑われるにちがいない.
しかしながら実際,看護教育の中で教養科目に期待されている役割は決して小さいものではない.多くの看護学校でそれぞれ独自の読書会や研究会を設けて,文学,哲学,社会学,心理学等々,看護に関係する様々な文献を読み,論じ合う機会をもっていることも1つの例として挙げることができる.また多忙な仕事の合間を縫って大学の授業を聴講し,ゼミに参加しているナースの例も1,2にとどまらない.
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