- 有料閲覧
- 文献概要
日々の生活で時間についていくつか心がけていることがあります。例えば,「時間がないという言い訳はしないようにする」ことです。時間は平等に与えられたものですが,使い方次第で一日は長くも短くも感じると思います。以前と比べて診療や研究を行うための書類手続きはとても多くなり,専攻医の先生たちは多くの書類作成に翻弄されて自分の勉強をしようと思う頃には夜遅くになっていると思います。指導医も意味があるかわからない会議や重複した内容の会議が多く,十分に指導する時間がとれない先生が多いと思います。そこに,いよいよ医師にも始まった働き方改革がさらに窮屈な思いをさせてきます。やらない・やれない理由(言い訳)を考えるとき,「時間がない」というのはとても便利な言い回しです。しかし,僕は断るときは時間以外の理由,やりたくない理由・能力的にやれない理由などを考えて対応することを心がけています。もう一つ僕が大切に心がけていることは,「時間は自分で作る」ことです。すると次に,「どのように時間を作るか」という問題が出てきます。一日の時間が限られている以上,何かを減らすしかありません。残念ながら,僕はショートスリーパーではないので睡眠時間を短くするとすべて非効率的になるので睡眠を減らすことはしません。仕事に関することであれば病院にいるなかで時間を生み出すことを考えています。教室員に常に伝えていることは,皮膚科の診療科としての特徴を理解して効率的に働くということです。外来中心の診療科のため毎日多くの患者を長時間にわたり診察していると思います。大学病院は比較的入院患者が多くなりますが,一般的な皮膚科の平均単価を考えると入院は外来の10倍程度です。つまり,一日あたり1人入院を増やせば外来を10人減らしても収入は維持できます。入院患者は初日は大変でも,2日目以降の負担は大きく減ることが多いため調べものをする時間が生まれます。僕自身は,時間を費やす仕事とそれ以外をきっちり区別して時間を作ることを心がけています。時々,すべてにおいて全力で取り組んでいる人がいますが,おそらくそのような人もどこかで手を抜いていることもあるけど,全力で取り組むことだけが他の人に見えているだけだと勝手に想像しています。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.