論評
日常的現実の維持と変革—“日常世界の構成”ノート
湧井 由美子
1
1東京大学文学部大学院
pp.324-328
発行日 1978年5月25日
Published Date 1978/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907214
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我々は皆,<日常的現実>の中に住まっている.<日常的現実>は我々の生活が営まれる場であり,我々の<醒めた意識>の唯一の拠り所である.だが,我々は,この<日常的現実>自体を取り出して考えることはない.このような<日常的現実>がどのように成り立っているのか,どのような根拠によって確かであるのか,などと疑うことはふつうしないのである.それは自明なことであり,問うには及ばないのだ.
本書は,この<日常的現実>がどのように構成さねてくるかを分析することをテーマとしている.‘現実は社会的に構成されており,知識社会学はこの構成が行われる過程を分析しなければならない’(翻訳書,“日常世界の構成”,山口節郎訳,新曜社,p.1,1977)このような問いが成立する場—主体的風景とは,一体何なのか……と私は考え込んでしまう.
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