第9回中国地区看護研究学会特別講演より
看護実践を通して看護の本質を問う—第二部
外口 玉子
1
1東京都精神医学総合研究所医療看護研究室
pp.70-77
発行日 1978年2月25日
Published Date 1978/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907177
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‘手だて’という看護固有のアプローチ
事例2
この人は非常に長期の療養で,社会から隔離されている施設の患者さんです.患者がボロになった,テラテラの不潔な下着を着続けて,なかなか新しいものに着替えないというんです.目の見えない人だったのですが,着替えるようにということで,受け持ちの補助員さんも,看護婦も,みんな一生懸命説得したんですけれども,なかなか新しいシャツに着替えようとしない.
私が月に1度,参加しに行っている療養所での看護婦のケース・カンファレンスに,問題としてその人が出されたのは,なかなかシャツを着替えない,みんなからもいやがられる,あんまり言うと怒って口もきかなくなる,なんとかしたいということだったんですね.ある看護婦が考えたのは,目が見えないから汚いというのが分からないのではないかということですね.だから汚く見えるということを言い続ければ,もしかして納得するかもしれないと思って言うんだけれど,言えば言うほど不機げんになって,向こうを向いてしまう.
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