私の発言
看護教育と人間の性—臨床実習指導を通して考えたこと
遠藤 恵美子
1
1東京都立新宿高等看護学院
pp.469-475
発行日 1977年8月25日
Published Date 1977/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907121
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はじめに
昼夜の区別なく患者と接している看護婦は,病気といういわば人間が置かれる最悪なる状況とたたかう人間が,またその人を取り巻く人々が示す喜び,悲しみ,不安,恐れ,怒りといった,さまざまな内面的感情に遭遇する.そしてその感情のなまなましさに,私たちは圧倒させられることがしばしばある.殊に人間の性にかかわる問題については,その複雑さにもかかわらず,私たちはそれを個人の問題として処理したり,あるいは無視してきたがために,この問題に対応する力をもたず,その戸惑いは大きい.
しかし,私たちは医療の場で,対象のもつ個人的な問題にまで迫り,問題解決への援助をしようという役割を引き受けている以上,なま身の人間がもつ性の問題について自己の認識を高めると同時に,疾患や治療が肉体的・精神的側面から患者の性に大きな影響を与えている事実に精通し,看護者としてなんらかの援助ができるように訓練を積み重ねていく必要があると思う.
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