私の発言
臨床実習で学生と共に学ぶ
谷 美津子
1
1国立岡山病院付属看護学校
pp.193-197
発行日 1976年4月25日
Published Date 1976/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906974
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はじめに
10月から12月にかけては,3年生の進路決定の時期である.学生も,何かもやもやし神経過敏になっていたが,結局,2/3のものが,臨床看護を選んだ.学生の迷いは,‘やりがいがあり,自分自身を高められ,意欲をもって臨める所がない’ということであった.この言葉の内には,単に医療のひずみのしわ寄せを,看護者がひとりで背負っている労働条件の悪さに対してだけではなく,そこに働く看護者の主体性のある真摯な姿勢をも求めている声を聞くのである.しかし,これは,臨床実習場面だけの問題ではなく,看護教育全体からいわねばならないことである.
先に,看護教育問題研究班が,‘一般的にみて,自ら疑問を持ち学ぶ看護婦,自己が直面する問題に主体的にとり組める看護婦が育っていない.看護教育の中で学生の可能性がつぶされてしまう傾向すらみられる.今の看護教育で最もゆゆしい問題であるという認識をもつに至った’とある.この報告書が,“看護”に,‘主体性のある看護婦の育成を’1)と題して掲載され興味深く読んだのは,看護教育に携わった2年目の春であった.
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