私の提言
専門性を育てるための基礎的努力を
木場 冨喜
1
1熊本大学教育学部看護科
pp.421-427
発行日 1973年7月25日
Published Date 1973/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906686
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なぜ専門性が育たないのか
看護というコトバのもつ響きを,あらためて口の中でくりかえしてみると,他のコトバにない暖かさや親しさを感じることができる.いまさらながら包括的で,すばらしい表現なのだと満足してしまえばそれまでであるが,よく考えてみると,つかまえどころがなく,焦点のさだまりにくいあいまいさをもっている.ひとつの見方をすれば,その包括的であいまいさのゆえに‘看護’と言いさえすれば,すべてを表現し尽くしているような錯覚もあって安心してしまい,その中に含まれる具体的な内容や意味を分析したり,深く考えたりしないで,安易にとびこしてしまうことにもなりかねない.
したがって,その中から発見されたり開拓される,新しい知識や現象を表現するのに,看護は語彙が少ないとつくづく思う.そのことは,近年論議されはじめた看護の概念についても,コトバのうえでは一応納得し,看護のとらえ方について,共通の基盤ができたかのように思われながら,具体的な内容については,非常にくいちがってくることがしばしばある.それは教育の内容や方法についても,同じことが言えよう.
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