ひとやすみ・115
営業努力
中川 国利
1
1宮城県赤十字血液センター
pp.1047
発行日 2014年9月20日
Published Date 2014/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407105194
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- 文献概要
外科医本来の仕事は手術であり,外科医は手術三昧したいのが本望である.しかし,一般市中病院では手術数は限られ,自分には知識も技術もあるのに執刀する機会が少ないと歎きがちである.多数の手術をするためには,それなりの営業努力が必要である.
若い時代には,知識も技術も乏しいため手術に巡り合う機会は少ない.そこで手術を任せられたときに即応えられるように,常日頃から知識を蓄え手技を習得しておく必要がある.ところで私が大学の医局に在局していた当時,同級生と比較して出張先での手術件数が断然に多かった.その理由は,出張先の病院の外科医は先輩と二人だけであり,麻酔医も不在であった.通常は後輩が麻酔をかけ,レスピレーターを装着する.そして先輩が消毒をして滅菌布を掛けている間に,後輩が手洗いをして手術が始まる.このスタイルでは,先輩に手術を取られてしまう.そこで私は昼食をそこそこに,手術室に直行して麻酔をかける.さらに先輩が手術室に入る前に術野を消毒して,術前の準備を完了する.そして入室した先輩に,「開腹しておきましょうか」と,問う.手洗いし術衣に着替えた先輩は,「そのままやってみたら」と,手術続行を許してくれた.そのためほぼ全ての手術を施行することができた.
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