特別論稿
大学問題とその焦点
山田 茂
pp.44-54
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906177
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はじめに
最近の新聞や雑誌をひらくと,必ずといってよいほど,大学問題や学生問題についての解説や見解などがのっている。今や学生問題と,これに関連する大学教育の改革や学校教育制度は,単なる教育問題の域を越えて社会問題へと発展している現状である。元来,子弟の教育の問題は,社会的にみても反響が大きく,個人個人としてもその教育観や教育方法について考え方をもっているし,評論的に日常の生活の中で見解が表明されていたものであるが,頻発する学園紛争や過激な学生活動によって,その意見が表面化され,爆発的な量となったものであろう。このような事態は,教育が国民の関心事として全国民の間で論ぜられることであって,そのエネルギーが結集して新しい大学のあり方や学生活動の正しい方向づけとなるならば,喜ばしい現象であるといえよう。
3月7日には,中央教育審議会の「学園における学生の地位について」中間報告(草案)が発表され,賛否両論の意見が早々に表明されている。このような時期に,諸外国における学生運動や,国内の運動に包含されている学生問題について若干の解説を行ない,新しい世代の学生が提起していた諸問題と,これに対処すべき教育者としてとるべき措置などについて考察をこころみることも意義のあることと思われるので,菲才をかえりみず稿を起こすこととした。
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