教育月評
大学紛争の政治的意味
村松 喬
1
1毎日新聞社
pp.40-42
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906156
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去年から今年へかけての最大の問題は,誰の目から見ても大学紛争である。国会が開かれ沖繩問題や安保問題が論議されているが,大学問題の前には,それすらも影が薄くなってしまうほどである。沖繩と安保の重要性はもちろん大きいが,大学問題はそれと比重を同じくする政治性があり,また社会性があるために重要だということができまた同時に沖繩や安保よりも一般の国民には,感覚的に,より身近だということで,重要性に対する深い意識が出てくるのだと思われる。
しかし,ここで注目したいと思うのは,それでは沖繩と安保と大学とは,全然別の,かけはなれた問題であるかというと,決してそうではなく,この三つの問題は,根底においては共通のものであり,同じ次元で考えなければならない性質の問題だということである。沖繩と安保とが関連性を持つことは誰にでもわかる。しかしそれでは沖繩と大学とが直接関連のあることであるかどうかというと,少々理解しにくい点があるかもしれない。
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