教育のひろば
看護と教育
大浦 猛
1
1東京教育大学
pp.1
発行日 1969年2月1日
Published Date 1969/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906121
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- 文献概要
わたくしは医学や看護学の専門家ではないが,ここでは,教育学者の立場から,思いきって看護と教育との関係について,いや,看護の中に教育が含まれなければならないことを,指摘してみたいと思う。医療ないし看護とは,心身に変調をきたした人(つまり患者)に対して,それを正常な状態に戻そうとつとめる行為である,といってもよいであろう。そしてそのうち,積極的な側面を「医療」と呼び,それを補助するいとなみを「看護」ということができるであろう。ところで,医療を補助するいとなみとしての看護は,個々の状況によっては,その準備やその事後処理のために直接患者にはたらきかける場面を含むばあいがある。とりわけ患者が入院しているばあいにはその場面が多く,また長く続くことになる。長期にわたる入院患者に対しては,そのことがいっそうきわだってくるわけである。
そのように,患者と直接に接触することがひんぱんになってくればくるほど,その看護は人間的なふれあいの機会を多く含むことになる。そしてその人間的なふれあいは,まさに教育そのものとして見直され,また教育にまでたかめられてしかるべきなのである。ところで,教育とはどういういとなみのことをいうのであろうか。
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