私の講義ノート・3
愛—高等看護学院対人関係講義から
落合 国太郎
1
1名古屋市立看護学院
pp.51-55
発行日 1968年4月1日
Published Date 1968/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906007
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はじめに
愛という。改めて字義を説明するまでもなかろう。あまりにも普遍的な言葉だから。しかし国語辞典で見れば,愛とは“かわいがること”とある。またキリスト教では神格の本質とせる純粋普遍の慈愛,博愛とある。これが本当の愛の精神であろう。
愛ということは無生物の間にはまったくみられない。生物では,植物でも高等植物になれば有性生殖をするが,雌雄の間に愛の芽生えはなかろう。しかし動物ともなれば,かなり不等なところまで愛がみられる。霊長類はもとより,犬猫鼠に至るまで,およそ哺乳動物には母性愛というようなことがみられる。また動物では交尾期がきても,雌は自分が好む相手でないとむやみに雄を近づけない。まして交尾は許さない。
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